大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

神戸地方裁判所 昭和56年(わ)1446号 判決

本店所在地

兵庫県姫路市飾磨区英賀宮町二丁目一番地

法人の名称

株式会社富士築炉工務店

代表者の住居

右本店所在地に同じ

代表者の氏名

田中昭信

本籍

兵庫県姫路市飾磨区英賀西町二丁目五三番地

住居

兵庫県姫路市飾磨区英賀宮町二丁目一番地

会社役員

田中昭信

昭和一六年一二月一日生

右両名に対する各法人税法違反被告事件について、当裁判所は検察官藤田壽一出席のうえ審理して次のとおり判決する。

主文

被告株式会社富士築炉工務店を罰金三、二〇〇万円に、被告人田中昭信を懲役一年六月にそれぞれ処する。

被告人田中昭信に対し、この裁判確定の日から五年間右刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告株式会社富士築炉工務店は、兵庫県姫路市飾磨区英賀宮町二丁目一番地に本店を置き、築炉工事請負等を営むもの、被告人田中昭信は、同会社の代表取締役としてその業務全般を統括しているものであるが、被告人田中は、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て

第一  昭和五三年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度における実際の所得金額が金一三六、〇九二、二九七円で、これに対する法人税額が金五三、四三五、四〇〇円であるにもかかわらず、公表経理上、架空の外注工賃及び労務費を計上するなどの不正の行為により所得を秘匿したうえ、昭和五四年二月二八日、同市北条字中道二五〇番地所在の所轄姫路税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が金二、八〇〇、三三二円で、これに対する法人税額が金六二二、六〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により右事業年度の法人税五二、八一二、八〇〇円を免れ、

第二  昭和五四年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度における実際の所得金額が金一五六、四一七、六二一円で、これに対する法人税額が金六一、七〇四、四〇〇円であるにもかかわらず、右同様の不正の行為により所得を秘匿したうえ、昭和五五年二月二八日、右姫路税務署において、同税務署長に対し右事業年度の所得金額が金一二、六一五、七三〇円で、これに対する法人税額が金四、一八三、六〇〇円である旨の虚偽の法人税額確定申告書を提出し、もって不正の行為により右事業年度の法人税五七、五二〇、八〇〇円を免れ

第三  昭和五五年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度における実際の所得金額が金一〇八、七七六、〇七一円で、これに対する法人税額が金四二、五九三、九〇〇円であるにもかかわらず、右同様の不正の行為により所得を秘匿したうえ、昭和五六年二月二七日、右姫路税務署において、同税務署長に対し右事業年度の所得金額が金一二、〇八〇、二九八円で、これに対する法人税額が金三、九一五、五〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により右事業年度の法人税三八、六七八、四〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

被告会社代表者兼被告人である田中昭信の当公判廷における供述のほか、第一回公判調書中の証拠等関係カード(請求者検察官)番号1ないし51記載のとおりであるから、これを引用する。

(法令の適用)

(一)  被告会社

被告会社の判示各所為はいずれも昭和五六年法律第五四号(法人税法の一部を改正する法律)附則第一九条により同法による改正前の法人税法第一六四条第一項、第一五九条第一項に該当するところ、情状によりいずれも同法第一五九条第二項を適用して各罰金を五〇〇万円をこえその免れた各法人税の額に相当する金額以下とすることとし、以上は刑法第四五条前段の併合罪なので、同法第四八条第二項により右各罰金の合算額の範囲内で被告会社を罰金三、二〇〇万円に処する。

(二)  被告人田中

被告人田中の判示各所為はいずれも昭和五六年法律第五四号(法人税法の一部を改正する法律)附則第一九条により同法による改正前の法人税法第一五九条第一項に該当するところ、いずれも所定刑中懲役刑のみを科することとし、以上は刑法第四五条前段の併合罪なので、同法第四七条本文、第一〇条により犯情の最も重い判示第二の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で被告人を懲役一年六月に処し、情状により同法第二五条第一項を適用してこの裁判確定の日から五年間右刑の執行を猶予する。

(裁判官 安井正弘)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例